サイバーセキュリティ月間とSAOから考える公務員の役職雑感

(本稿はソードアートオンライン010 アリシゼーション・ランニングまでのネタバレを含みます)

こんにちは、あるいはこんばんは。Yukimuraです。

今日まではサイバーセキュリティ月間ということで、何書かないとと考えていたのですが、サイバーセキュリティ月間といえばソードアート・オンライン(SAO)ですよね。

#サイバーセキュリティは全員参加

で、久々にこのSAOを読んでいたのですが、ここには総務省の役人の「菊岡誠二郎」というキャラクターが登場します。

この人物は、「国家公務員のキャリア組1」で「総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室2」(通称:仮想課、総務省SAO事件対策本部3)に所属している「総務省の窓際課長4」かつ「二等陸佐」である30代前半の男性とされています。

...ところで、この若さで総務省の課長、というのはあり得るのだろうか、ということが大変気になったので、検証してみることにしました。

まずは正面から

作中で言われる「国家公務員のキャリア組」は、おそらく国家公務員総合職として採用された職員を指すでしょうから、まずは総務省の総合職職員が、概ね何歳で課長級になるかを調べてみます。

総務省採用総合案内2025「先輩からのメッセージ」によれば、入省20年目で参事官に着任している例が見られます。あるいは過去のパンフレットを見てみても、20年から23年程度で課長になっている例が見られ、学部卒22歳で入省したとしても最短でも42歳。仮に菊岡氏が35歳で入省13年くらいだとすると、同年代の現実の総務省職員は、課長補佐という役職の方が多いようです。

標準的な官職を定める政令によれば、参事官は課長級

いずれにせよ30代前半では課長にはなれないことがわかります。

このことから、一般的な意味での、総務省の課長ではない のではないか、と考えられます。

では何なのか

軽犯罪法第1条第15条では、「官公職(略)を詐称」することが拘留又は科料になるとして定められています。

仮にも国家公務員である菊岡氏が官公職を詐称することは考えにくいですから、「総務省の課長」であることは確かなのでしょう。

とすると、考えられるのは、「総務省の課長」ではあるが、仮想課の課長ではないというパターンです。

では、仮想課に所属する職員が、総務省の課長ではあるが仮想課の課長ではない場合、どのようなケースが考えられるか。これはズバリ、併任がかかっている場合です。

併任とは人事院規則8−12に定義のある通り

採用、昇任、降任、転任又は配置換の方法により現に官職に任命されている職員を、その官職を占めさせたまま、他の官職に任命することをいう。

人事院規則8−12

ということであり、平たくいえば兼任です。

しかし、総務省の課長には、最短42歳でないとなれないことが、先ほどわかったばかりです。

ではどのような「総務省の課長」なら、30代でもあり得るか。これも総務省の採用パンフレットに答えがありました。

オチ

平成29年度総合職採用案内「先輩からのメッセージ」によれば、平成7年に採用された方が、8年後の平成15年に「関東総合通信局無線通信部私設第一課長」であったという経歴が紹介されています。

関東総合通信局とは、総務省の地方支分部局にあたり、霞ヶ関に置かれる総務省の各局とは別に、各地方における所掌事務を分掌する出先機関に当たります。

仮に、22歳で採用されていれば、30歳で課長というのも十分あり得る計算になります。つまり、30代前半で「総務省の課長」というのは、地方支分部局であれば成立しうることが判明しました。

ここまで判明した事実を整理すると

  • 菊岡氏は、30代前半で総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室に所属する総合職の職員
  • ある課に所属する職員が、総務省の課長ではあるが当該課の課長ではない場合、併任発令されている場合があり得る。
  • 地方支分部局であれば30代前半で課長もあり得る。

となります。また、Wikipediaの「現在の日本の公的機関における主要な階級の比較表」によると、2佐は本府省庁課長補佐級に当たるとされるほか、人事院規則9−8別表第一標準職務表では、5級は本省では課長補佐の職務を行う者の級であり、地方支分部局では地方出先機関の困難な業務を所掌する課の長の職務を行う者の級であることがあり得るとされています。

このことを踏まえ、本稿では以下を結論とします。

菊岡氏は、防衛省陸上自衛隊から出向で来ている、総務省の総合職相当の職員であり、総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室に所属しながら、地方支分部局の課長に併任発令されている。

終わりに

いかがだったでしょうか。

フィクションに実世界のことを持ち込むのは野暮という見方もありますが、他方でリアルな作り込みが面白いという気持ちもあり本稿を作成するに至りました。

ご意見、ご異論があるようでしたらどしどしお寄せいただけると大変幸いです。


  1. ソードアート・オンライン005 ファントム・バレット P.20 ↩︎
  2. ソードアート・オンライン005 ファントム・バレット P.20 ↩︎
  3. ソードアート・オンライン003 フェアリィ・ダンス P.37 ↩︎
  4. ソードアート・オンライン010 アリシゼーション・ランニング P.65 ↩︎

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