【第6回】研究室OBOGインタビュー
こんにちは!M2の辻です。
今年も研究室公開に向けて、研究室について知ってもらうため、OBOGインタビューを実施します!
OBOGインタビューでは、上原研のOB・OGの先輩をお招きして、研究室での活動が社会人になってどう活きるのかや、学生時代の研究のお話などを伺います。(他のインタビュー記事はこちら)
第6回は、2022年度(2023年3月)修士卒の荒井さんにインタビューをさせていただきます。
自己紹介
ーよろしくおねがいします。
荒井:よろしくお願いします。
ー自己紹介をお願いしてもいいですか。
荒井:荒井と申します。研究室内では "ARAI Daisensei" と呼ばれていました。
この名前の由来はですね、後輩の研究の面倒を見ていたら、彼らが "ARAI Daisensei" と呼ぶようになったんです。
私自身も講師という職業に憧れを抱いてまして、この "ARAI Daisensei" という名前を気に入っています(笑)。
ですので、Slack の表示名とか、防衛省サイバーコンテスト 2025 へ参加したときも "ARAI Daisensei" を使ってました。
ーそうだったんですね。はじめて由来を知りました(笑)
上原研に入ったきっかけ
ーセキュリティに興味を持ったきっかけとかはありますか?
荒井:はい。ゲームのバグがきっかけでセキュリティの世界へ入りました。
幼いころからゲームでよく遊んでいましたが、ストーリーよりもバグへの興味のほうが強かったです。
例えば、初代ポケモンには簡単にレベル 100 にできるバグが存在するんです。
当時の私は「何故そんなことが起きるのだろう?」と非常に興味を持っていました。
そんなある日、ニコニコ動画でそのバグを解説してくれる動画に出会いまして、その動画を見てからコンピュータへの興味を強く抱き、情報系大学への進学を決意しました。
大学で学んでいくうちに、「ゲームの世界でのバグは面白いで済むかもしれませんが、現実世界でのバグは悪用されてしまう」ことに気づき、セキュリティの世界へ進むことにしました。
ーなるほど。そこから上原研でセキュリティを研究しようと決めた理由はなんですか?
荒井:実績や憧れが要因として大きかったと思います。
まず、上原先生の外部メディア出演の実績ですね。
サークルの先輩が上原研にいらっしゃったので、見学しやすかったです。
また、研究室を見学した際に、非常に技術力の高い先輩とお話しする機会がありまして、その方への近づきたいという憧れもあり、上原研へ入ることを決めました。
研究について
ー上原研ではどんな研究をされていたんですか?
荒井:Deep Learing を使ってマルウェアを検知するという研究をやっていました。
ーその研究テーマはどうやって決められたんですか?
荒井:セキュリティと AI の二刀流でキャリアを歩みたいという夢からテーマを決めました。
私が高校生のときにAlphaGo(アルファ碁)がプロ棋士を破ったというニュースを見まして、AI にも関心がありました。
セキュリティにも AI にも興味があったわけですが、当時はまだ何も知らなかったので、「セキュリティといえばマルウェア対策でしょ」ぐらいの安直な考えでテーマを決めてしまいましたね(笑)。
ー難しそうなテーマですが、研究で苦労されたことはありますか?
荒井:沢山ありますが、、、3つ挙げるとすれば、AI の勉強・レッドオーシャンな研究テーマ・スパゲッティコードですね。
1つ目は、AI の知識そのものを習得する必要がありました。
ですので、講義のレジュメだけではなく、書籍やネットも活用して、泥臭く数式と向き合っていました。
2つ目は、知識を習得して論文を読めるようにはなったものの、レッドオーシャンな研究であることが分かったのです。
単純なテーマであったため、先行研究が沢山あり、新規性を出しつつ既存手法よりも有用性がある手法を考えることが大変でした。
3つ目は、今までのプログラミング演習よりも大規模なプログラムを書くことになりまして、、、次第にスパゲッティコードになってしまったのです。
研究の終盤では自分でもどう直せば良いのか分からなくなっていました。この苦い経験が今の業務にも活きているわけですが(笑)。
お仕事の話
ー今のお仕事の内容をお伺いしてもいいですか?
荒井:現在は SOC サービスに関する仕事をしています。
漠然とした回答ですが、本当に色々やってまして、、、具体的には、次世代 FW や EDR のログ分析というまさに SOC らしい仕事だったり、最近では SOC の体制やフローといった運用設計も任されつつあります。
あとは、どうやって監視センターがログを受信するかだったり、メール通報するかといった、SOC サービスを実現するためのシステム基盤の構築や運用の一部も担当しています。
それらの業務の中で、手作業の業務をプログラムや AI で自動化して、品質向上とか効率化できないかなぁと画策しています。
ーすごく色んな業務をされているんですね。
学生時代に学んだ知識や研究活動の経験は、現在のお仕事にも活きていますか?
荒井:そうですね。全て役に立っています。
技術面では、SN コースと研究を学んだことが全て役に立っています。
私の場合、セキュリティ、ネットワーク、AI のいずれも活かせる企業や採用コースを選んだことも大きいです。
技術以外もとても役に立っています。
具体的には情報収集、文書作成、プレゼン、いずれも研究を通じて成長でき、それらが現在の業務へ役立っています。
研究室配属では「希望の研究ができないかも」、就職活動では「学生時代の研究とは異なる分野の仕事をするかも」といった不安があると思います。
ですが、技術以外も仕事へ活かせるので、それなら「技術以外のスキルを伸ばすために研究を頑張る!」と考えてしまうのも、それはそれで良いと思います。
研究で身に付けた基礎スキルがあれば、あとはビジネスの世界に合うように調整していくわけですね。
上原研で良かったこと
ー上原研の良かったところとかあれば教えて下さい。
荒井:優秀な学生が多く、刺激を受けやすい環境であることです。
学会発表で受賞している学生が多いのはもちろん、積極的に外部へ発信している学生が多いです。
例えば、CTF や LT へ参加したり、ブログを書いていたりとか、そういった活動をしている方々を見て、私も彼らに近づけるよう頑張ろうという気持ちが沸きましたね。
ーそんな方々との思い出エピソードはありますか?
荒井:スマブラ大会ですね(笑)。
ブログで紹介されているので是非ごらんください(こちらとこちら)。
セキュリティの世界に入ったきっかけでお話したように、幼稚園や小中学生のときは、よくスマブラをしていました。
ハードでいうと、NINTENDO 64、ゲームキューブ、Wii ですね。
高校生くらいから、あんまりやらなくなってブランクはあったのですが、研究室内では意外と強キャラで、ARAI Daisensei の新たな一面を見せることができたかなぁと思ってます(笑)。
配属される学生に向けて
ー研究室選びに向けてアドバイスはありますか?
荒井:"何を" 研究をするか?も大事ですが、"誰と" 研究するか?もとても大事だと思います。
これは大学生活と社会人生活を送って感じたことですね。
研究室への配属は、コミュニティへの参加に近いと思います。
なあなあのコミュニティだと自分も流されてしまって、せっかくの成長の機会を無駄にしてしまうかもしれません。
だからといってハイレベルなところに行けば良いという話ではなく、周りのレベルが高すぎてメンタルが沈んでしまう方もいるでしょう。
自分に合ったコミュニティを選ぶことは、とても大事です。
研究室生活で形成された思考や習慣が、社会人生活にも繋がっていくので、大事な期間と捉えてほしいですね。
ー大学院まで含めると3年半ぐらい同じ研究室で活動することになりますもんね(笑)。
荒井:そうですね。3年ぐらい活動すると組織の嫌な部分も見えてきたりするので(笑)。最初の見極めは大事ですね。
今回は "誰と" という観点でお話しましたが、実際には自分の性格や興味、今後のキャリアとか、研究室のメンバー、ゼミの進め方とか、本当に様々なことを天秤に掛けながら、研究室を選んでいくことになると思います。
ーインタビューへのご協力ありがとうございました!
荒井:ありがとうございました!
次回はご飯会やセキュリティイベントで皆さんとお会いできることを楽しみにしています!
