【第3回】研究室OBOGインタビュー

M2の菅原です。
去年より研究室配属期間に実施している研究室OB・OGインタビューの続編です。

上原研のOB・OGの先輩をお招きして、研究室での活動が社会人になってどう活きるのかや、学生時代の研究のお話などを伺います。
B3の皆さんにとって研究室配属の参考となれば幸いです。

第3回は、2021年度(2022年3月)修士卒の大川悠人さんにZoomでお話を伺います。

自己紹介

ーこんにちは、よろしくお願いします。

大川:よろしくお願いします。

ー自己紹介をお願いします。

大川:22卒でいいのかな笑
はい、22卒OBの大川です。よろしくお願いします!

学生時代の研究

ー学部・研究科時代の研究内容について教えてください。

大川:認証系の研究をしていて、認証の中でもパスワードレスな認証方式のFIDO(Fast Identity Online)っていうのがあって、その研究をしてました。認証のサーバー書いたり、あとは二要素認証的なものでもあるので、別にデバイスが必要になったりするんですが、そのデバイスをM5Stickとか、あとはRaspberry Picoってちっちゃい計算機の上で認証機の実装したりとかして、いろんな認証の問題を解決しましょうみたいなことをしてました。(後日追記: ペアリング暗号とFIDOを組み合わせる研究をしていて、前述の計算機の上でペアリング暗号の実装をしていました。)

ー研究室配属前からFIDOの研究をしようと考えていたのですか?

大川:全然そんなことなくて、そもそもB3のときは何か漠然と認証系の研究はしたいなと思っていました。B3のゼミで僕らの時代はみんなで論文を読んで輪講しましょうみたいなのがありました。(筆者注:現在もあります)先生からこの学会の論文を読んでくださいねと言われたときに、ひたすら認証系にまつわる論文ばっかりを読み漁ってた感じでしたね。
研究どうするんですかってなったときに、先生からこういうのあるんだけどと言われてみてみたらすごい面白くて、そのままFIDOやりますって言って突っ込んでた感じですね。なので、最初は(認証で)何しよっかなで入ったのが正直なところあります。

ーパスワードや認証系に興味を持たれたきっかけはなんですか?

大川:研究室配属の希望調査みたいなとこに書いたネタなんですけど笑
1回生か2回生のときに、Amazonのアカウントに不正アクセスされて2万コインぐらい買わされそうになったことがありました。でも面白そうやからこれ研究テーマにしてみようかなみたいな軽い気持ちでしたね。なんか認証系って怖いなと思って、そういうところの勉強ができたらいいなっていうので、上原研にも2回生の後期ぐらいから絞り始めてたのかなという気がしてますね。

ー研究テーマがふんわりしていても上原研は大丈夫なんですか?

大川:そうですね。漠然とパスワードとか認証とかやりたいぐらいの気持ちでした。認証って言っても、他にもいっぱいあると思うんですけど、先生にこのFIDOっていう面白いのあるけどどうって言ってもらえたりしました。
情報セキュリティっていろんな技術があったりするし、研究的な目線でも新しい技術は栄えてるので、何か漠然としてるなっていう状態でも、掴みやすいものもあるんじゃないかなって正直思ってはいます。

大学院進学について

ー大学院に進まれた理由を教えてください

大川:最初は何となく漠然と、理系なら院でしょぐらいの雰囲気を正直感じていたのと、周りの人にそう言われたりしたので。
そういうイメージは持ってたんですが、進学をどうしようかなって考えたときに、あと1年で何かこの上原研でもがいても1年じゃ足りないなと思って。あまりにも先生がやってることもすごい幅広いし学生のやってることも幅広いし、B3のときとかの全体ゼミとか聞いてる感じだと、自分の研究を掘り進めていくと1年じゃ無理だなって。
なのであと2年は少なくともここで勉強をしたらもっと強くなれるんじゃないかと思って、両親も承諾してくれてって感じですね。

ーでは、割と前から大学院に進むことを考えてらっしゃったんですね?

大川:実は、最初は国立大学のどこかに行こうかなと思ってたんですよ、上原研じゃなくて。他の大学も行きますみたいな話を、実際に(研究室に)入る前に先生にも言ったりしてて。
特に狙ってたのはNAIST(奈良先端科学技術大学院大学)だったんですけど、実際上原研に入ってみて、直に先生のすごさと研究室のすごさを知って、ここしかないだろうと思って僕はこの研究室で進学することを選択しました。

ー大学院進学当時、研究に対して不安はありましたか?

大川:あんまりなかったかもしれないですね。プラス2年の研究が不安という話だと思うんですけど、プラス2年もあっていっぱいできるやんっていう気持ちでしたね。B4で1年かけてやれのはミニマムじゃないかみたいなと感じたりしてたので、プラス2年って本当にでかそうだなっていう感じでしたね。
研究のまとめだしとかを10月、11月にしないといけないって考えたら、7ヶ月ですか?これはかなり短いので、技術スタックを身につける意味でもプラス2年って本当に大きいし、宝になるんじゃないかって思ってますね。

就職の話

ー普段の業務について、詳しく教えてください。

大川:都内の某Web企業に勤めていまして、社内のセキュリティシステムを担当していています。例えば開発者が暗号鍵の管理とか、APIトークンとかデータベースのパスフレーズなどを生でおいておくわけにいかないと思います。かといって暗号化しておくにしても、その暗号化に使う鍵をどう保管するんですかと堂々巡りになっていく問題があると思うんですよ。そういう課題を解決するようなプロダクトを持っています。

ーなんで今の会社を選ばれたんですか?

大川:さっきFIDOの研究をしてたって言ったと思うんですけど、今勤めている会社にかなり研究してるときにお世話になっていました。学部のときのとある集まりでちょっと声かけさしていただいて。そういうところで繋がりがあったりして、いろんな話聞いていく中でちょっと興味を持ち始めたのが最初でしたね。
実際の就活で言うと、結構悩んでいました。所謂セキュリティ業務に就くのか、漠然と昔思っていたゲーム会社とか、他も見てみてもいいんじゃないかと思っていました。ただ、色々見ていく中で、なんでもできるし働き方もすごい良い会社だったので、絶対ここに行きたいなと思って途中からもう1本に絞りましたね。

ー上原研で学んだことが業務に生かされていますか?

大川:技術面ももちろんそうなんですけど、やっぱりゼミとか卒論・修論発表会の中で資料をうまく作る、どうやったら相手に伝わるかを考えるところです。文章を書くときに、正直、先生に文章書くのをあんまり上手じゃないと言われたりしたこともあったりしたんですけど、そういうところでもがいて、伝え方をしっかり学んだなと思っていて、本当に活きてます。技術はもちろんなんですけどそういうところをかなり強く意識できるんじゃないかなと思いますね。

ー上原先生は日本語に厳しいですよね(笑)

大川:厳しいです(笑)最後の最後まで指摘され続けました。言葉の選び方だったりとか、文章書く上でうまく上手い伝わり方をよく学べるんじゃないかなと思いますね。順序立て、ロジック立てみたいなところってやっぱりどんなところでも大事だと思うのでそういうことは本当に活きてますね。ありがたいです。

社会に出て、上原研でよかったこと

上原研で良かった思うことを教えてください。

大川:さっきはドキュメントだったりとかの技の話をしたので、技術的な話をすると、本当にみんなやっていることがバラバラじゃないですか。自分の同期とかを見たとしてもいろんな人がいて、社会に出てみるとこれ誰々さんが研究してたやつのテーマだとか、ニュースになっているとかあまりにも社会に根づきすぎていてびっくりすることが多くて、上原研の幅広さっていうものを特に思い知らされてますね。

ー自分の専門外の分野・技術でもキャッチアップが早くなりますよね

大川:そうそう。9人いたら9人全員もちろん違うことやってるし、全然違う分野をやっていたりもするので。こっちでは電子メールやってます、認証やってます、セキュリティの動機づけみたいなことやってますとか、個人情報保護法集めてますみたいな人もいたりとか。本当に幅広く、ある程度のベースの知識がつくので、すごい役に立ってるなと思います。

ー各々テーマが違うため先輩の研究を引き継ぎがないことが多いですが、苦労したポイントはありますか?

大川:そうですね、あんまりないんじゃないかな。特に僕なんかは研究室の中で突飛なテーマをやっている方なので、FIDOがそもそも新しめの技術っていうのもあり、研究室内では初めてぐらいの感じでした。あまり先輩との引き継ぎみたいなことはなかったんで、逆に言うと幅広すぎて奥深くまで知ろうと思うと、確かに難しかったかもしれないですね。
やってる人が誰もいないので、もがくしかないのは結構しんどかったところはありますけど、近い分野の研究をしているひとたちからいろんな意見もらえたりとか、これって実はここ危ないんじゃないのっていう話をもらったりとかして、いろんな角度から話をもらえるのは面白いとは思います。

ー上原研で思い出深いエピソードなどありますか?

大川:社会人向けになってたセミナーに突っ込んでいったことですね。上原先生に東京でこういうのあるんだよって教えてもらって。研究目的なんですけどいかせてくれませんかって言って単身で、いろんな企業がFIDOについて喋るところに行かせてもらったことですかね。

ー外部イベントで上原先生の影響力を感じたことはありますか?

大川:それはもう本当に顔が広い方なので、どこに行っても先生を知ってる人がいます。それこそ、セミナーも先生の知り合いがいたから、先生が見つけてくれたからみたいなこともあったので、上原先生の影響力、すごさは思い知りますね。

上原研におすすめな人物像

ー大川さんが考える、上原研に入ることがおすすめな人物像を教えてください

大川:そうですね、何にでも興味持てる人だと思います。
同学年でもやってることが全然違うので、こんなこと面白そうとか、いろんなことに興味を持ってる人がかなりおすすめだと思いますね。ゼミの時間ずっと楽しめると思うので。先輩の論文を研究室に行ったら読めると思うんですけど、本当に様々な角度からの研究があるので、興味を持てると上原研は最大限楽しめるんじゃないかなと思います。

ー上原研の先輩方の論文が見たい方はぜひ研究室にお越しください!

学生にアドバイス

ー学生に向けて上原研のアピールポイントを教えてください。

大川:アピールポイントは、さっきの話にも繋がっちゃうけど、上原先生はいろんなことができる、レイヤ全部いけますよみたいな感じだと思うんですよ。そこが本当にアピールポイントなんじゃないかなと思いますね。
もちろん先生と相談していろんなことを決めていくことになると思うんですよ。
あと、おやつかな(笑)(筆者注:上原研のおやつ事情

ー最後に、学生にアドバイスをお願いします。

大川:ここで全てが決まるわけではないって結構後ろ向きな感じもするけど、実際、僕は今は全く研究内容とは関係ない仕事に就いています。何か自分のやりたいことができれば、後ろの人生には影響しないと思うので、今興味あることとか今やりたいこととかを考えてみて、研究室選びできると、自分のためにすごくなるんじゃないかなと思いますね。
今興味があることにとことん取り組んで、自分の力のベースができて他のこともできるようになるみたいなことはあると思うので、ぜひ興味あることを自分で必死に考えてみて先生方に自分のアピールポイントをいっぱい出してみるといいんじゃないかなと思います。

ーありがとうございました!
笑顔で写真撮影に協力いただいた大川さん

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