【第4回】研究室OBOGインタビュー
M2の菅原です。
大川さんのインタビューに引き続き、研究室OB・OGインタビューの続編です。
上原研のOB・OGの先輩をお招きして、研究室での活動が社会人になってどう活きるのかや、学生時代の研究のお話などを伺います。
今後のキャリアパスを見据えた研究室選びをしたい方や研究室選びの決め手に悩んでいるという方など、B3の皆さんにとって研究室配属の参考となれば幸いです。
第4回は、2021年度(2022年3月)修士卒の岡澤野乃華さんにZoomでお話を伺います。
自己紹介
ーこんにちは、よろしくお願いします。
岡澤:はい、よろしくお願いします。
ー自己紹介をお願いします。
岡澤:2022年に大学院を卒業してます。現在は某通信系企業でCSIRT業務をしています、岡澤野乃華と申します。お願いします。
就職の話
ー普段の業務について、詳しく教えてください。
岡澤:私は基本的に社内でサイバーインシデントで呼ばれるものが発生したときに、インシデントの対応をするっていうのがメインの業務になってます。ただ、そんな頻繁にインシデントって起こらないので、普段は実際にインシデント発生したときにどうやって動くのかっていうマニュアルとかを作ったりとか、整備であったりとかをしています。あとは、インシデントとか発生したときにどう動くかっていうの演習が社内外にも実はいろいろとあったりするんですけど、それに参加したりとか、逆に社内の演習の企画をするとかをメインでやっています。
ーなんで今の会社を選ばれたんですか?
岡澤:私は別にセキュリティにこだわってなかったんですよね。IT業界ってめっちゃ幅広く見てて、だからといってセキュリティから完全に離れたいかって言われたそういうわけじゃなかったので、知識忘れないうちにセキュリティやって、その後いろいろと経験とかしたいなということで、セキュリティができるところを選びました。
あとは関西に残るみたいなとこもあったけど、ほとんどセキュリティは東京が多いので、関西でセキュリティも一応できて、最悪いろいろやろうと思えばできるところを基準にして選んだかなと思います。
ー上原研で学んだことが業務に生かされていますか?
岡澤:上原研って本当にいろんな人がいろんな研究をやっていて、だからゼミのときにみんな知らない単語が飛び交うみたいな結構当たり前にあると思うんですよ。何の話みたいなのが多いと思うけど、それを単語だけ知ってるみたいな、ちょっと概要知ってるみたいなのがすごい業務中でも多いかなっていう印象です。なので、もう全く知りません、何それっていうところからっていうのが、そこまであんまり多くないかなって感じています。
学生時代の研究
ー学部・研究科時代の研究内容について教えてください。
岡澤:私はセキュリティに興味のない人たち、いわゆる一般的な人たちがどうやったらセキュリティの対策ってしてもらえるんだろうなっていうところの研究をやってました。
学部のときはWindows Updateすると(セキュリティ対策が)ましになるよねっていうところに着目して、Windows Updateをどうやったらみんなにしてもらえるのかっていうところに取り組んでいました。昔は通知が出てきたんで、その通知を例えば真ん中に最終的に出るようにしたらどうなるかとか、色変えたらどうなるかなみたいな研究をしてました。
修士では、行動経済学の一つになるんですけど、無意識下でさせる、自然にさせるのが一番理想だよね、セキュリティって常にある程度できる状態になるよねって研究をしていました。意識しない中でできるようにするにはどうしたらいいかっていうところで、Twitterでその人たちってのは実際どうしてもらったら次もやってやろうと感じてくれるのか、違和感なくやってくれるのか、みたいなところをTwitter使いながら研究していたみたいな感じですね。
ー上原研でも珍しいテーマかなと思うんですが、取り組むきっかけはなんですか?
岡澤:実は、研究テーマが決まらなかったことがきっかけかなと思います。4年生の3月ぐらいに上原先生と研究テーマどうするって相談すると思うんですけど、何か興味あることあるって言われたときに思いつかなかったんですね。そしたら、最近気になったこととかないのと言われて、そういえば私パソコンを買い換えたんですけど、ウイルス対策ソフトを入れようと思ったら、Windows Defenderを止めないと入れませんって怒られちゃって、止めて入れ直したんですけど、わざわざそれする意味あるのかなと思ってたんですよねって言ったら、じゃあそれ研究テーマにしようかって言われたんです。
岡澤さんが違和感を持つってことは誰でも持つことだと思うから、普通知らない人とかだったら全然そこら辺できないよね、そのままWinセキュリティ対策できなかったまずいよねって言われました。で、そういうところちょっと調査してみるっていう話から、Windows Updateとか、ウイルス対策ソフトとかそういうところの研究に繋がったかなと思いますね。
ー珍しい研究をされていたがゆえに苦労されたことはありますか?
岡澤:上原先生がすごいアイディアマンなんで、自分が調査した話をしてこことか気になるよねって話が出たときに、それこそ行動経済学の仕掛け学とか使ったら面白いよねみたいなテーマとか、次々出てくる知らない単語についていくのが本当に大変だったなっていうのは思いますね。仕掛け学の先生の研究室の卒業発表が一般公開されてたので、ちょっと参加させてくれませんかって言って、オンラインで参加して何かないかってみたりとか、ナッジとか仕掛け役の本とかは買ってもらってとりあえずそれを読んで、しばらくはゼミでそれの紹介をするみたいなことをしてましたね。
相談先が上原先生しかない状態っていうのが結構多かったんで、調べては他に使えるとこないかっていうのを相談して、これ使えませんかねっていうのをずっと相談してるっていう、それを繰り返してたかなと思いますね。何とかしがみついてたっていうイメージがあります。
ー研究テーマがふんわりしていても上原研は大丈夫なんですか?
岡澤:そうですね。もちろんあるに越したことはないけど、なかったらないなりにどうしよっかなみたいなのを先生に相談したら、いくつかテーマを挙げてもらえたりもします。その中で自分が興味を持って最終的にそれをやってるうちに愛着わくかなと思うので、それをどんどん研究してもらえたらいいのかなと思います。
大学院進学について
ー大学院に進まれた理由を教えてください
岡澤:社会に出る勇気がなかったというのが正直な話なんですけど、いわゆるプログラミングとか授業とかでやってて、私達のときだったらセキュリティコースじゃなかった(筆者注:情報理工学部は4学科制だった時代がありました)ので、結構ハード寄りのこととかやったりとかもしてたんですけど、プログラミング苦手だったんですよ。
研究テーマも最終的にはプログラム作ったりはしてたんですけど、技術力に全振りしないような研究テーマをしたりとか何かをしてたんですが、ある程度自信持ってから技術職には就きたいと思ってたので、そういうところが一応大学院に進んだきっかけかな。学部だけでは専門性がちょっと不安だったので、それも含めてですね。
社会に出て、上原研でよかったこと
ー上原研で良かった思うことを教えてください。
岡澤:そうですね、私の部署とか特に上原先生の名前出したら話題ができますよね(笑)上原研なの!みたいな話であったりとか、外部交流で最近上原先生に会ったよみたいな話とか、なんかそういう話をいっぱいしますね。研究どうしてたのって言ったら私のはやっぱり特殊なのでそういうとこで面白そうだなって興味を持っていただけて、話が弾んだりっていうのはやっぱり上原先生の影響が大きいかなと思いますね。
あとは、今も全然できてないとは思うんですけど、ある程度どういうふうに文章を書くか、いわゆる目的意識みたいなとこなんですけど、上原先生に論文書く中で、なんでこの研究をしたのかっていうのをすごい意識して添削されると思います。これは、実際社会人なってもそうで、目的っていうところを結構がっつりが重要視されて、正直そこが揃ってたらあとはそこまで影響がないっていうところで、そこの大切さっていうのはすごい実感しながら日々資料作成とかマニュアルとかを作っています。
上原研におすすめな人物像
ー岡澤さんが考える、上原研に入ることがおすすめな人物像を教えてください
岡澤:セキュリティ興味ある人はもちろんだけど、自分のやりたいことがあまりはっきりと決まってない人も、私はいいかなと思っています。自分もそうだったんですけど、いろんなジャンルの人がいるわけで、社会人もいるし、留学生もいるし、弁護士の方もいらっしゃったので、法律的な面のセキュリティの研究してる子もちろんいるし、先生と一緒でフォレンジックをメインにやってる子もいるし、みたいなすごい幅広くあるから、いろんなのに触れる機会がすごい多いかなと思います。
何か自分がやりたいこととかこうしたいなって思うのを見つけるきっかけに、研究室っていうのはあるかなと思うので、むしろ決まってない人とかのほうが刺激を受けるからいいきっかけになるんかなっていうのは思います。
学生にアドバイス
ー学生に向けて上原研のアピールポイントを教えてください。
岡澤:やりたいことをやらせてもらえるっていうところが強みかなと思います。それができるのって上原先生や猪俣先生(筆者注:上原研客員教授)の技術力・知識の賜物なので、そこを活かさない手はないでしょう。1年で終わる研究ってなかなかないので、2年とかプラスでやっていくっていうのが理想ではあるものの、せっかく1年でもセキュリティに触れれるっていうのはすごいいいきっかけになると思います。それと、先生と一緒に研究ができるっていうだけでも大きなアピールポイントですね。
実際に他のいろんな人と出会うきっかけにもなりますしね。
ー最後に、学生にアドバイスをお願いします。
岡澤:とにかく先輩と話してみてくださいっていうのが私は言いたいかなと思います。先輩と話すことで、ある程度その研究室の雰囲気はわかると思うんですよね。いくらその研究テーマがどうしても合っていてこれやりたいってなっても、人間関係としてうまくいかなかったりとか、どうしても研究の中で先輩に相談したりとかね、論文の書き方を相談したりとかっていうのがどうしても出てきます。そこで先輩が自分にとって合わないなって思ったら、人間関係ってすごいメンタルにくるし、しんどいと思うので、全部の研究室で絶対先輩誰がいてくれると思うので、どんな感じですかみたいなとか聞きまくったらいいかなと思います。それで自分に合っていそうでなおかつ、やりたいことができそうだなって思うところっていうのをうまくバランス見て決めるっていうのがいいのかなっていうのを思います。